明治20年の神戸郵便電信局舎と大正8年の神戸郵便局舎

初期の神戸郵便局舎の変遷

明治4年、山陽道まで郵便が延伸するにあたって、神戸市場町の広島屋彦三郎所有の民家を700両で買い上げ、神戸郵便仮役所としたのが始まりです。当初は敷地面積36坪984、建家は2階建の民家でした。ところが、郵便物の量が増え、また外国郵便も開始することから、明治7年末に「横浜、神戸、長崎郵便役所」が国のトップダウンで新築されることになりました。完成までの期日がなかったことから、工部省が用意していた設計図による神戸郵便役所は実現せず、関戸良平に随意契約で実施することなりました。

明治20年の神戸郵便電信局舎

その後、神戸電信局と神戸郵便局の統合に際して、これまでの木造局舎から煉瓦造2階の局舎が新築されることになりました。明治20年12月完成、設計は工部省と説明され、明治20年5月12日から逓信省技手の中島泉次郎が担当しています。概要は次のとおりです。

神戸郵便電信局

(図版協力:安藤源成氏)

構造:煉瓦造2階
竣工:明治20年12月頃
設計:工部省
場所:神戸市栄町通6丁目

大正8年の神戸郵便局

明治20年の神戸郵便電信局舎は大正6年11月に焼失したため、新たに新築されることになりました。設計者は明らかになっていませんが、和田信夫・渡辺仁の2名が神戸出張に出ていた記録があります。明治8年9月に完成しました。それが絵葉書右手・栄町通りに面した神戸郵便局舎です。

大正8年の神戸郵便局

(図版協力:安藤源成氏)

参考文献:『明治・大正期の逓信建築の研究―モダニズム期以前の局舎と技術者達』(古山精一、2021年)

神戸中央郵便局の沿革

明治04.12.05 設置 郵便取扱所 設置名称「神戸」
明治06.04.- 一等郵便役所に改定
明治07.12.-「神戸兵庫」と改称(兵庫郵便局を吸収)
明治08.01.01 一等郵便局に改定
明治15.-.-「神戸」と改称
明治20.12.01 一等郵便電信局に改定
明治36.04.01 一等郵便局に改定
明治43.04.01 設置 一等郵便局(旧局は逓信管理局に)
昭和04.12.01 現名称(神戸中央)に改称
昭和16.02.01 普通郵便局に改定
平成24.10.01「神戸支店」と統合

*沿革は『日本郵便局名鑑 』森 寿博 編著/武田 聡 追補/鳴美、2021年より。

 

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