栃木県最古の現役郵便ポスト|湯西川温泉・本家伴久

湯西川温泉・本家伴久とは

栃木県日光市(旧栗山村)の本家伴久は湯西川温泉で最古であり、かずら橋で知られる老舗旅館です。そもそも湯西川温泉は、平重盛の六男平忠房が遠く落ち延びて湯西川温泉を永住の地に決めたと伝えられ、室町時代に伴忠光(平忠房の流れを継承)が湯西川温泉を再発見しました。この伴家が1666年に湯治宿「伴久旅館」を創業したのが始まりです。

有名なのは昭和41年から本家伴久の第24代女将を務めた故・伴玉枝氏です。社長、大女将として活躍するかたわら、栗山村村議・副議長、湯西川温泉旅館組合長、全国平家会会長などを歴任し、湯西川温泉の発展に大きな功績を残しました。

栃木県内最古の丸形ポスト

本家伴久の目の前にある郵便ポストは昭和初期の郵便ポストで、昭和4年から5年の製造と推定されます。「郵便」の文字が右書きされ、投函口付近の円形部分や庇に雷文模様があり、郵便ポストを支える根石も戦後のタイプより大きくつくられているのも特徴です。金属製の郵便ポストの大半は戦時中に回収されたため、現存10点ほどしかありません。しかも今なお現役の郵便ポストとして使用されているという意味で、非常に貴重な存在です。

栃木県内最古の現役郵便ポスト

栃木県内最古の現役郵便ポストー美しくペンキが塗られて、オレンジがかった色から赤色の凛々しい姿となっている。

令和3年5月には現役やOBの郵便局員などで構成される「丸型ポストの会」の若林正浩氏(副会長)、小沼隆行氏により、ペンキの塗り替え作業が行われ話題を集めました。

郵便マークを囲むように施された雷文模様

郵便マークを囲むように施された雷文模様が戦前の丸形ポストの特徴である。

湯西川郵便局の基本情報

明治13年12月に湯西川に初めての郵便局が開局しましたが、明治18年8月末に廃局となり、改めて明治18年9月1日に郵便受取所となりました。しかし郵便受取所としても明治21年4月30日をもって廃止され、湯西川の地に郵便局所は一度なくなりました。本家伴久は郵便局長を務めたと伝えられますが、おそらく明治13年から明治21年にかけて存在した湯西川郵便局もしくは郵便受取所を運営したのではないかと考えられます。

その後、昭和14年5月6日に今日の湯西川郵便局の前身にあたる湯西川郵便取扱所が設置されました。本家伴久から徒歩2分ほどの場所にあり、温泉地らしい落ち着いた雰囲気の郵便局舎となっています。

野岩鉄道会津鬼怒川線の湯西川駅付近にある鉄橋

野岩鉄道会津鬼怒川線の湯西川駅付近にある鉄橋

湯西川郵便局の沿革
明治13.12.- 設置 五等郵便局
明治18.08.31 廃止

明治18.09.01 設置 郵便受取所設置名称「湯西川」
明治19.04.22 駅逓局報に、現名称での記載あり
明治21.04.30 廃止

昭和14.05.06 設置 郵便取扱所
昭和15.12.01 三等無集局に改定
昭和16.02.01 特定無集局に改定

沿革は『日本郵便局名鑑 』森 寿博 編著/武田 聡 追補/鳴美、2021年より。
参考サイト「postmap

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