川尻郵便局の昭和9年の局舎
川尻郵便局は明治16年4月1日、湯田村131番戸に開局しました。初代局長は川村弥五郎氏で、明治33年2月21日に郵便電信局に改定されました。明治36年4月1日に川尻郵便局となっています。特定集配局としての役割を果たしており、今もなお集配業務を続けています。(令和3年時点)
川尻郵便局の沿革を見る中で、特筆すべきは昭和36年2月16日の移転です。湯田ダム建設にあたって川尻地区の中心部が水没エリアに入り、昭和9年にできた局舎があったエリアも該当したため、川尻郵便局は西和賀町上野々39-190-19のへ移転することとなったのです。水没地域の住民への補償として、ダム水没予定地上流部の湯田村館・上野々・耳取の三地域を移転地として提供し、約4万坪の住宅地の造成を行い、生活インフラを整えました。まさにその一環として川尻郵便局の移転も行われました。なお、湯田ダムの水没補償は小河内ダムに次ぐ史上2番目の規模となりました。
(荻田栄治さんのご厚意により収集された写真類をレトロ郵便局に掲載させていただきました)
川尻郵便局の基本情報
所在地
〒029-5599
岩手県和賀郡西和賀町上野々39-190-19
川尻郵便局の沿革
明治16.06.01 設置 五等郵便局
明治18.10.01 三等郵便局に改定
明治33.02.21 三等郵便電信局に改定
明治36.04.01 三等郵便局に改定
昭和16.02.01 特定郵便局に改定
*沿革は『日本郵便局名鑑 』森 寿博 編著/武田 聡 追補/鳴美、2021年より。
資料提供:荻田 栄治(おぎた・えいじ)
交通史研究者・郵趣家。1941年に岩手県江刺郡岩谷堂町(現 奥州市)に生まれる。日本郵趣協会県南支部(岩手県)結成に尽力し、支部長に就任。2004年から10年にわたり江刺市行政区長(岩谷堂3区)を務めた。主な著作に1980年『江刺の郵便誌』が処女作。近著に2018年『北上川に架かる橋』がある。