日本の絵はがきの裏面デザインと法令の変遷による年代特定方法 2024.10.22 絵はがきの裏面デザインは、まったく任意に製造された様式ではなく、その時代の郵便制度や郵便法規の影響を色濃く映し出したものです。それぞれの時代において施行された法令や社会の変化に伴い、絵はがきの形式や使い方も変化してきました。本記事では、裏面デザインを5つの時期(I期~V期)に分類し、特徴とともに法令
上野国安中の電報 ―柳沢庄平家における商用通信の定量分析― 2024.10.15 上野国安中の電報 ―柳沢庄平家における商用通信の定量分析―板橋 祐己郵便史研究会 『郵便史研究』(第57号)2024年10月はじめに筆者は上野国安中の米問屋として知られる柳沢庄平家に届いた明治23(1890)年から大正13(1924)年頃にかけての電報送達紙を1万通余り入手した。
資料紹介|黒ポスト異聞 垂便箱と東京府違式詿違条例-前島 密 『郵便創業談』の逸話について 2024.10.01 黒ポスト異聞 垂便箱と東京府違式詿違条例(とうきょうふいしきかいいじょうれい)井上 卓朗郵便史研究会 『郵便史研究』(第57号)2024年10月はじめに垂便箱とは、トイレに間違えられた郵便ポスト(黒塗柱箱 図1)のことだ。明治5年に誕生したいわゆる黒ポストが、テレビの番組や雑誌な
郵便機械化の実験はどこで行われたの?|昭和41年 2024.09.12 日立と日本電気が担った戦後の郵便機械化昭和41年8月、埼玉県の大宮郵便局に本省直轄の機械化実験室が設置されました。大宮局では、郵便物を定形と定形外により分ける自動選別機、定形郵便物の切手の位置を自動的に検知して取り揃え消印する自動取揃押印機などの試作機が持ち込まれ、テストと改良が続けられました。
札幌市南区の「おもしろ遊便館」が伝えた郵便の新しい形 2024.09.02 「こんなものが郵便で送れるの?」と、誰もが驚く変わり種郵便物がずらりと並ぶ博物館、「おもしろ遊便館」が札幌市南区にありました。この一風変わった施設を立ち上げたのは、渡辺信雄さん。郵便局の仕事を通じて培った経験を生かし、郵便文化の楽しさと可能性を探求したこの博物館は、まさに“遊び心”の詰まった場所でし
日本近代紙幣の始まりを中心に|エドアルド・キヨッソーネと大山助一 2024.07.02 (イメージ:日本銀行本館)新たな紙幣3種が令和6年(2024年)7月3日に導入されます。ここでは、近代貨幣に詳しい板橋健彦さんに、特にエドアルド・キヨッソーネと大山助一に焦点を当てながら、特に紙幣において残した足跡についてご紹介いただきます。エドアルド・キヨッソーネは明治の近代的な切
「郵便局」という名称に統一されたのは明治8年1月1日から 2024.04.20 改めて「郵便局」とは日本における郵便、郵便貯金、郵便為替、郵便振替、そして簡易生命保険からなるいわゆる郵政三事業の業務は、窓口をはじめとする様々な場所で手がけられています。昭和23年(1948年)に制定された郵政省設置法*(昭和23年法律第244号)によりますと、地方郵政局が担うべき業務の中でも
「郵政省設置法」と戦後日本の現業機関(郵便局)の地位と位置づけ 2024.04.20 昭和24年(1949)の郵政省設立と現業機関の位置づけ戦後復興が進む中、昭和24年(1949)6月、「郵政省設置法」に基づき逓信省が郵政省と電気通信省に分離されました。こうして誕生した郵政省は、旧逓信省の郵政事業部門を引き継ぎ、ほぼ同じ組織構造を維持しながら、効率的な郵便事業の運営と国民へのサー
郵政省時代の郵便局とその種類について 2024.04.01 郵政省の「現業事務」を行った郵便局とその種類について郵政省設置法第8条には「郵務局の事務」が定められ、「5 郵便局を設置し、又は廃止すること」「6 郵便局における郵便に関する窓口取扱時間及び取扱事務の範囲を定めること」「7 郵便物の運送契約をすること」「8 郵便切手その他郵便料金をあらわす証票を
郵政省時代の「集配事務」及び集配に関する郵便用語について 2024.03.31 (トップの画像は、昭和40年頃の宮城県 江別郵便局)取集と配達無集配郵便局で引き受けた郵便物や郵便ポストに投函された郵便物を集配局まで運搬する作業、集配局から受取人へ送り届ける作業は、明治・大正・昭和・平成・令和と本質的には変わりません。しかし東芝が平成10年に郵便物を配達する順番に並び替え
普通郵便局と特定郵便局 2024.03.30 普通郵便局と特定郵便局普通郵便局と特定郵便局について解説します。この2つの郵便局の区別は昭和16(1941)年2月1日にできたものです。郵便局が一等局・二等局・三等局の三等級制になったのは、明治19年(1886)4月26日のこと。このときの区分のうち、一等局・二等局の多くが普通郵便局となり、三等
日本におけるカシェ入りの初日カバーの草分け|米国人カール・ルイス(Karl Lewis) 2024.03.19 日本切手にみるカシェ入り初日カバーの始まり切手収集を楽しむ方々にとって、新しい切手が発行されるたびにその切手に初日の消印を押して記録するという習慣は、まるで切手の誕生をお祝いする儀式のようなものです。この特別な日に発行された切手を、関連する美しいイラストが描かれた封筒に添えて作られる「カシェ入り