一等地に残された「郵政建築」の生き残り|京都中央郵便局

京都中央郵便局の概要

京都中央郵便局は、京都府京都市下京区に位置し、明治13年に京都停車場構内に開設された京都七条電信分局が始まりであり、かつての七條郵便局を前身としています。民営化前は集配普通郵便局であり、併設施設としてゆうちょ銀行京都店やかんぽ生命保険京都支店などがあります。

京都中央郵便局

機械化モデル局だった京都中央郵便局

京都中央郵便局(現局舎)は、昭和36(1961)年10月2日に、「自動区分機設置モデル局」として郵政省によって開局されました。万国郵便連合(UPU)の下部組織である郵便研究諮問委員会(CCEP)は、昭和34(1959)年3月のハーグ大会で、昭和36(1961)年の第5回大会を東京で開催することを決定しました。この大会では、郵便機械化の視察もプログラムに組まれていたため、機械化モデル局の設置が必要になりました。日本で第4位の郵便物量を扱っていた京都中央郵便局が、規模的にも実験局として妥当であったため、機械化局の設置場所として選出されました。

京都中央郵便局は、京都駅前の用地が手狭だったため、当時としては珍しい高層の機械化局となりました。屋上は将来的なヘリコプター郵便の可能性を考えて、ヘリポートとしての機能を備えた設計になっていました。郵趣的には、新しい京都中央郵便局の開局日に切手自動販売機が稼働開始したことが記憶されています。当時の30円普通切手は横型の平等院鳳凰堂30円であったため、急きょ塔航空30円の図案でコイル切手を調整するという、よく知られたエピソードがあります。また、この年の年末に地元の京都新聞が行った「京都十大ニュース」では、京都中央郵便局の開局が第7位にランクインし、京都市民にとっても大きな関心事であったことが伺えます。

京都中央郵便局

京都中央郵便局の詳細情報

現在の局舎は昭和58年(1983)に増築されたものです。近年では複合ビルへの建替え構想が進められており、2029年度の完成を目指しています。この建替えにより、京都駅ビル開発と連携した再開発が計画されており、郵便局の窓口業務は2025年中に京都駅周辺に移転する予定ですので、これまでの姿がみられるのもあとわずかです。

京都中央郵便局

京都中央郵便局のアクセス

所在地
〒600-8799
京都府京都市下京区東塩小路町843-12

アクセス
徒歩:「京都駅」から徒歩3分

京都中央郵便局

京都中央郵便局の基本情報(今後の見通し)

このターミナル駅前の一等地にある京都中央郵便局(現局舎)は「京都プロジェクト(仮称)」と呼ばれる再開発計画が進行中です。この計画では、地上14階、地下4階、延床面積130,000平方メートルの大規模複合ビルが予定されています。このビルは事務所、ホテル、商業施設、駐車場、バスターミナルなど多目的に利用されることが想定されており、市内最高層の建物の一つとして60mの高さになる見込みです。工事は2029年度の完了を目指しています。

周知のとおり、日本郵便は東京、名古屋、福岡、広島での中央郵便局の建て替え再開発を既に完了し、各都市のランドマークとしてJPビルやJPタワーを運営しています。大阪も近く完成予定で、京都はこの流れを受けて6番目の大規模プロジェクトとなります。福岡のKITTE博多と同様に、京都プロジェクトも高さ60mに抑えられ、地域の景観に配慮した開発が行われる予定です。

京都中央郵便局の沿革
明治35.01.21 設置 支局 設置名称「京都郵便電信局七条支局」(京都郵便電信局七条電信支局を改定)
明治36.04.01「京都七条」二等郵便局に改称、改定
明治44.08.01「七条」と改称
昭和05.09.01 一等郵便局に改定
昭和16.02.01 普通郵便局に改定
昭和24.02.01 現名称に改称

沿革は『日本郵便局名鑑 』森 寿博 編著/武田 聡 追補/鳴美、2021年より。

参考動画(YouTube)

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