明治初期にみられる馬蹄形の郵便窓口跡

馬蹄形の郵便窓口跡

郵便創業期は初めから郵便局舎としてできた建造物ではなく、街道沿いの本陣や有力な商家などの施設を間借りしたものが主流でした。利用客は建物に上がることなく、屋外から上の部分がアーチの形をした窓口でやりとりを済ませることが多かったようです。

こうした馬蹄形の郵便窓口はかつて郵便局だった時期のある古民家などでその名残・痕跡を見つけることもありますが、馬蹄形の郵便窓口が当時のまま現存しているもの、当時の様子が分かりやすく復元されたものは、これまで5例見つけました。ことさらに郵便局だった時期のことに言及しない建造物・非公開の建造物も多いため、全容をつかむのは困難ですが、おそらく全国的にも10例ほどではないかと考えられます。

旧取手宿本陣・染野家住宅

屋内から馬蹄形の窓口跡をのぞき込んだところ。旧取手宿本陣・染野家住宅は茨城県指定有形文化財・取手市指定史跡である。

所在地
〒302-0004
茨城県取手市取手2-16-41

アクセス
電車:JR取手駅から徒歩8分

旧府中郵便取扱所・旧矢島家住宅

明治5(1872)年から明治22(1889)年までの間、郵便局として使用されたことで知られる。

所在地
〒183-0026
東京都府中市南町6-49-10 府中市郷土の森博物館内

アクセス
バス:分倍河原駅などからバス便あり「郷土の森正門前」下車
車:中央自動車道・国立府中I.C.から約10分

旧茗荷郵便取扱所・松本家住宅

文久3(1863)年の建物。明治6(1873)年頃から大正まで郵便局として使用された。奈良市指定文化財(建造物)

所在地
〒630-2175
奈良市茗荷町1181

アクセス
バス:JR・近鉄奈良駅から水間方面行きバスで「茗荷町」下車 徒歩1分

旧黒山郵便局・川口家住宅

右手の木の柵の奥に、4つの馬蹄形の窓口跡が確認できる。庭には樹齢300年の楠木がある。

所在地
〒587-0002
堺市美原区黒山867

アクセス
バス:近鉄南大阪線「河内松原」から近鉄バス「上黒山」徒歩5分

土居家・旧惣川郵便局(参考)

四国最大級の茅葺木造民家として知られる。馬蹄型ではないが、門松の左手に見えるひときわ大きな窓が郵便窓口跡。

所在地
〒797-1432
愛媛県西予市野村町惣川1292

アクセス
松山道西予宇和ICから車で約80分

馬蹄形の郵便窓口の風景印

奈良・茗荷郵便局で令和2(2020)年10月23日から、なんと 松本家住宅の馬蹄形の郵便窓口を図案化した風景印を使用しています。近くの奈良・茗荷郵便局の営業時間中に訪問するか、郵頼などで入手可能です。これまで郵便関連の風景印はみられるものの、こうした逓信遺産が風景印の意匠として採用されるのは異例なことです。

 

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