郵便マークを使った壁面装飾
郵便マークは逓信省の最初の文字’テ’を図案化したもので、地図記号のように○で囲ったり、緑の葉の装飾を加えたり、紋様のようにさりげなく使用したりとさまざまな郵便マークがレトロ郵便局舎の壁面にみられます。地方の三等局の設計を担った職人さんの心意気を感じさせる趣向をこらした郵便マークも、レトロ郵便局の重要な鑑賞のポイントといえるでしょう。
郵便マークと組み合わされるものとして「図案化した植物」がもっとも多く、花は「桜」が一般的です。時おりタンポポを思わせる黄色い花もみられます。大正・昭和初期の局舎はアールデコ調のデザインを用いて、擬西洋風建築の雰囲気をいっそう強める効果を狙ったものも散見されます。(詳細は後述)
郵便切手と植物デザインについて
郵便切手と組み合わせて使われる植物デザインとしては、まず手彫切手の「桜」が想起され、そのほかに「菊」「桐」などがあります。また、手彫切手や初期の郵便はがきなどには装飾したツル模様が多用されています。大正期ではオリーブ、月桂樹などが見られますが、〒マーク、特に郵便に強く関連してというわけでなく、それぞれの時代感覚で採用されているように見えます。これら切手デザインと郵便局の装飾との関連について考察すると、新しい発見があるかもしれません。