税済印が使用された地方特別郵便(地方約束郵便)

地方特別郵便(地方約束郵便)

前島密の立案した、地方特別郵便(地方約束郵便)制度とは、各府県内の公用文書送達をすべて郵便で行うという契約を、各府県と個別に締結するというもので、明治16年度までに各府県との契約締結をほぼ完了しました。同年度の通常郵便物引受数は一億一一六一万通に、郵便局数は五六六三局に、郵便差出箱設置場所は三万九〇七ヶ所と、いずれも大きな伸びを示しています。

府県側の利点としては、①前年度実績により郵便料金を一括納付することができる、②各書状に切手を貼付することなく郵便として差し出すことができる、③経費のかかる自前の公用文書送達制度を縮小することができる、などがあります。

福井県の特別地方郵便の一例(明治15年)

文:近辻喜一(ちかつじ・きいち)

近辻喜一さん郵便史研究会会長。『新版・明治郵便局名録』(鳴美、2015年)校訂者として知られ、一般の方にも親しみやすい郵便史の解説で定評がある。多摩地域を中心とする郷土史研究者としての顔も持つ。

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