櫛型印の登場と展開|明治39年

櫛型印のはじまり

おなじみの「櫛型印」は、一・二等局では明治39年から、三等局では明治43年から使われはじめました。昭和61年に「丸型印」へ切り替わるまで80年間も使用され、内国用日付印の中心的存在でした。円を三分割して、上段に局名を、中段に年月日を、下段に時刻表示を配した型式です。中段をはさんで櫛のような模様が入っているため、この名称がつけられました。

山梨・上九一色郵便局の櫛型印の初日例。三等局は明治43年の年賀状から櫛型印を使用開始した。

櫛型印の時刻表示の変遷

櫛型印の時刻表示は、午前0時から始まる時間帯の違いによって、①前0-5、②前0-7~前0-9、③前0-8の三期に分けられます。①は明治39年1月から、②は大正2年4月から、③は昭和5年12月から採用されました。また、最初の時間帯につづく時刻表示は、郵便局の等級により1時間刻み、2時間刻み、3時間刻みに設定されましたが、③で4時間刻みに統一されています。

昭和18年、太平洋戦争の激化にともなう資材節約のために時刻表示をやめ、かわりに都道府県名を入れることになりました。昭和40年から時刻表示は24時間型へ移行します。

奈良・茗荷郵便局の例(昭和28年)。局名も左書表記・時刻も戦後統一型と呼ばれる形式となっている。

到着日付印の押印廃止

大正元年9月、通常郵便物の書状とはがきの到着日付印の押印を廃止しました。櫛型印の時代の出来事の1つとして記しておきます。

文:近辻喜一(ちかつじ・きいち)

近辻喜一さん郵便史研究会会長。『新版・明治郵便局名録』(鳴美、2015年)校訂者として知られ、一般の方にも親しみやすい郵便史の解説で定評がある。多摩地域を中心とする郷土史研究者としての顔も持つ。

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