日本最初の官製はがき(紅枠はがき)とその後|明治6-8年

二つ折はがきの発行

わが国最初の郵便はがきが、明治6年12月に発行されました。オーストリアが世界最初の郵便葉書を発行してから、わずか4年後のことです。薄手の洋紙を縦長に二つ折りにした形状から、「二つ折はがき」と呼ばれます。市内用半銭と国内用1銭の2種類があり、共通の枠が紅色で刷られていることから、「紅枠はがき」という愛称がつけられています。

しかし、この美しい二色刷りの葉書は印刷コストが高かったため、2ヵ月後には1色刷りで表面に「郵便はかき印紙」と縦書きされた「脇つき」が発売されることになりました。その2ヵ月後、印面切取り使用を防ぐために、印面の「郵便切手」を「郵便はかき」に変更した「脇なし」になります。この脇なしはがきの印刷は、日本橋の紙商・榛原が請負いました。

国産の厚手用紙を使用した丸菊はがき

明治8年5月、国産の厚手洋紙を用いた小型の葉書2種が発行された。印面が丸い図案のため、「丸菊はがき」と呼ばれます。印面に切手同様カナを入れた「カナ入り」でしたが、2ヵ月後に「カナなし」に代わっています。

*ここでは特徴のある印面部分のみを紹介します。もし日本の官製はがきの全体像、詳しい図版や評価額などを調べたいときは、市販の日本切手カタログを参照ください。

文:近辻喜一(ちかつじ・きいち)

近辻喜一さん郵便史研究会会長。『新版・明治郵便局名録』(鳴美、2015年)校訂者として知られ、一般の方にも親しみやすい郵便史の解説で定評がある。多摩地域を中心とする郷土史研究者としての顔も持つ。

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