普通郵便局と特定郵便局
普通郵便局と特定郵便局について解説します。この2つの郵便局の区別は昭和16(1941)年2月1日にできたものです。郵便局が一等局・二等局・三等局の三等級制になったのは、明治19年(1886)4月26日のこと。このときの区分のうち、一等局・二等局の多くが普通郵便局となり、三等局の多くが特定郵便局となりました。
三等局は一等局・二等局よりも下位というイメージが働くため、中には三等郵便局を軽んじる利用客もありました。こうした弊害を克服し、士気を向上するためにも、普通郵便局と特定郵便局とに改められたのです。
*特定という言葉が局種に出てくるのは、明治36年(1903)4月1日が最初です。三等局のうち、規模の大きな局が「特に指定する」局として特定三等局となりました。特定とは「特に指定する」という意味があります。
普通郵便局と特定郵便局の法律上の定義
普通郵便局と特定郵便局の定義は、昭和25(1950)年2月1日の公達「郵便局の称呼に関する件」で行われました。特定郵便局は「特定郵便局長を長とする郵便局」と規定され、普通郵便局は「特定郵便局長を長とする郵便局以外の郵便局」と規定されていますが、いまひとつ一般的にはわかりにくい表現となっています。
本サイトでは三等郵便局・特定郵便局の局舎について多くを語っていきますが、「全国各地にある小規模~中規模な郵便局」といった意味合いで使用することとしたいと思います。それ以外の意味合いを持つ場合には、前後でそのつど丁寧な説明を加えていきます。
*特定郵便局長とそれ以外の郵便局長は任用方法がもっとも大きな違いとされますが、これらの解釈の部分については本サイトでは扱いません。
民営化後の郵便局の種類
平成19(2007)年10月1日の郵政民営化により、これらの普通郵便局と特定郵便局の区別はなくなりました。現在は大規模な郵便局が単独マネジメント局、窓口機能のみの小規模な郵便局がエリアマネジメント局と呼ばれ、これらを相称して直営局と呼んでいます。一方、戦後にできた簡易郵便局は各種団体や個人が日本郵便株式会社と業務委託契約を締結し運営を行っている点では民営化前と同じですが、民営化後は根拠法令が変更されています。現在、簡易郵便局にはフランチャイズ局という呼称もあります。
単独マネジメント局とエリアマネジメント局
単独マネジメント局とエリアマネジメント局の概念が導入されたのは、平成24年(2012)10月1日の日本郵便と郵便局株式会社の統合以降です。郵便局の運営はより効果的かつ効率的な管理が目指されることになりました。
単独マネジメント局は約1,200局存在し、それぞれが独立した損益管理を行う局です。これらの局は、郵便や物流機能をはじめ、窓口機能や金融渉外機能などを有し、それぞれが特定の業務に特化し、その分野での専門性を追求しながら業績を上げています。こうした局は、個々の郵便局が自己の収益を最大化するよう努め、地域特性に合わせたサービスを提供し、顧客満足度の向上を目指しています。
一方、エリアマネジメント局は約19,000局あり、これらは複数の郵便局が協力して一つのエリアを構成し、そのエリア全体での損益管理を行います。この制度により、小規模な郵便局も含めて、エリア全体で資源配分や業務効率化を図ることが可能になり、経済的な効率性とサービス品質の向上が期待されます。