菊切手の発行
明治32年1月から新しい普通切手の発行が始まりました。折からの国粋主義的風潮を背景に、菊花紋章を図案の中央に配し、英語の国名表記も廃された「菊切手」と呼ばれるシリーズでした。
菊はがきの登場
菊切手に先立ち、明治31年12月に、同一図案の料額印面をもつ、「菊はがき」が発行されました。当初の額面は1銭(紐枠はがき)だったのですが、明治32年4月の料金改正によって1銭5厘(青枠はがき)となりました。また、明治39年7月からはがき表面の枠がなくなりました(枠なしはがき)。
分銅はがきへの切替
明治44年11月、印面に「はかり」の分銅を描いた図案の新はがきが発行されました。この「分銅はがき」は昭和5年に「楠公はがき」が発行されるまでの19年間使用されました。
文:近辻喜一(ちかつじ・きいち)
郵便史研究会会長。『新版・明治郵便局名録』(鳴美、2015年)校訂者として知られ、一般の方にも親しみやすい郵便史の解説で定評がある。多摩地域を中心とする郷土史研究者としての顔も持つ。