明治22年の岡山郵便電信局舎
下之町の旧本陣の郵便局が明治20年の火災で焼失しました。そのため一帯の土地を買い上げて新築されたのが明治22年の岡山郵便電信局舎です。場所は当時の岡山区下之町71 にあり、現在の表町2丁目天満屋ビル南半分にあります。「開所式では、アーク灯を点灯して見物人で混雑し、当初3日間を2日延期した」ことが知られています。
(三角の部分に丸く囲われた郵便マークがみえる)
(図版協力:安藤源成氏)
三角ペディメントには丸に「〒マーク」が入っていました。中島泉次郎がデザインしたと伝えられます(「高等建築学’9.逓信省の建築」)。〒マークは明治20年2月に逓信省の徽章として制定されたばかりでした。中島泉次郎は建築の専門教育を滝大吉、吉井茂則、片山東熊から受けたとされ、逓信省技師吉井茂則の下で逓信省の筆頭技手を務めましたが、明治30年11月に臨時陸軍建築部技師として異動しています。
昭和12年の岡山郵便局移転
岡山郵便局がモダニズム建築の局舎として新築され、中山下の新局舎での営業を開始したのは、昭和12年6月27日のことでした。局舎新築に合わせて記念小型印が制作されました。なお、同局が岡山中央郵便局になったのは昭和44年4月1日のこと。また、現在の地上6階・地下1階の局舎は昭和52年6月に竣工したものです。
(図版協力:安藤源成氏)
岡山郵便電信局舎の概要
木造2階建一部3階556.5坪
開局式:明治22年4月1日~5日
財産目録:木造建家291坪8,同倉庫27、同物置6、同建物5。
参考文献:『明治・大正期の逓信建築の研究―モダニズム期以前の局舎と技術者達』(古山精一、2021年)
岡山中央郵便局の沿革
明治04.12.05 設置 郵便取扱所 設置名称「岡山」
明治06.04.- 二等郵便役所に改定
明治08.01.01 二等郵便局に改定
明治16.07.01 一等郵便局に改定
明治19.04.26 二等郵便局に改定
明治22.04.01 二等郵便電信局に改定
明治22.07.16 一等郵便電信局に改定
明治26.11.10 二等郵便電信局に改定
明治36.04.01 二等郵便局に改定
明治43.04.01 設置 一等郵便局
(同名局の現業事務を引継)
昭和16.02.01 普通郵便局に改定
昭和44.04.01 現名称に改称
*沿革は『日本郵便局名鑑 』森 寿博 編著/武田 聡 追補/鳴美、2021年より。