小坂秀雄の現存するモダニズム建築|旧郵政省小樽地方貯金局

旧郵政省小樽地方貯金局の概要

郵政省小樽地方貯金局は昭和27年にできた鉄筋コンクリートの建物で、地下1階・地上3階建てとなっています。設計を担当したのは小坂秀雄で、逓信建築の流れを汲むモダニズム建築の現存庁舎として知られます。昭和54年8月19日から小樽市立美術館となり、小樽にゆかりのある美術家の作品を中心に調査、収集、保存、展示するとともに、特定のテーマに基づいた特別展を開催、また美術講座、美術散歩を実施する場として活用されています。正面玄関には「小樽地方貯金局|OTARU LOCAL SAVING OFFICE」と表記されたプレートが掲げられ、しゅん工当時の様子を伺い知ることができます。

旧郵政省小樽地方貯金局2旧郵政省小樽地方貯金局を設計した小坂秀雄

逓信建築の系譜をひもとくと、吉田鉄郎、山田 守の次世代として活躍した小坂秀雄(1912-2000年)に行き着くことになります。小坂秀雄は明治45年に日比谷公園から近い松本楼(洋食)の創業者小坂梅吉の次男として生まれ、昭和5年に東京府立第一中学校(都立日比谷高校の前身)卒業、昭和10年に東京帝国大学の建築学科を非常に優秀な成績で卒業します。2年間設計事務所に勤務したのち、昭和12年に逓信省に技手(技師より下の待遇)として入省しました。

小坂秀雄の出世作は昭和26年に東京逓信病院高等看護学院でした。建築の中でもとりわけ権威のある日本建築学会賞作品賞受賞となりました。小樽地方貯金局庁舎の設計は翌年のことです。その後、小坂は外務省庁舎(2003年DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築)、逓信総合博物館・NTT本社が入居した逓信ビル(昭和39年)、新宿高層ビルの一角にあるKDDIビル(昭和47年)などの設計を担当していきますが、こちらは別稿としたいと思います。

旧郵政省小樽地方貯金局2

旧郵政省小樽地方貯金局(市立小樽文学館・市立小樽美術館)のアクセス

所在地
〒047-0031
北海道小樽市色内1丁目9番5号

アクセス
JR北海道・函館本線「小樽駅」から徒歩10分

旧郵政省小樽地方貯金局2

小樽市内の諸相

旧手宮線跡

旧郵政省小樽地方貯金局のすぐそばに旧手宮線跡がある

小樽運河

小樽運河沿いへは歩いて5分ほど

参考URL
小樽市立美術館協力会(リンク先を開くと有名な階段室の様子を鑑賞することができます)
小坂秀雄とモダニズム建築(2019.7.6)

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