第一種郵便などの区別ができたのはいつ?|明治16年

郵便条例施行=明治16年1月1日

「明治一四年の政変」で、明治14年11月、前島密は駅逓総監を辞職、その後に野村靖が就任しました。それから約1年後の明治15年12月、郵便条例が公布されました。施行は明治16年1月1日でした。これまで毎年年末に翌年の郵便事業運営の基本となる郵便規則及び罰則が公布されてきたのですが、郵便条例制定によってその煩雑さがなくなり、郵便条例が郵便の基本法令となり、恒久的な郵便法の制定につながっていきます。郵便条例が制定されたもう1つの背景として、明治6年に導入した均一料金制を完全に実施することがありました。まず、市内郵便の割引、不便地あての割増が廃止され、明治7年に設けられた公用郵便の割引(地方郵便)も廃止されています。

明治16年の郵便心得の一部

郵便条例の内容

郵便条例は15章249条で構成される大条例です。各章で定められた事項は、郵便物、郵便税、郵便切手封皮葉書帯紙、免税郵便、書留郵便、郵便物逓送配達、別配達郵便、郵便私書箱、留置郵便、貨幣封入郵便、郵便没書、郵便為替、駅逓局貯金、外国郵便、罰則でした。

第一章で郵便物を次のとおり四種類に整理して、それぞれ定義しました。
・第一種郵便物は、書状である。また、封をした郵便物は第一種とすると規定している。
・第二種郵便物は、郵便葉書である。ただし、税額印面に文字を記したもの、表面に音信を記載したものは、第一種として取り扱うことも定められた。
・第三種郵便物は、毎月一回以上発行する定時印刷物とその付録である。
・第四種郵便物は、書籍、帳簿、印刷物、写真、書画、絵図、罫紙、営業品の見本および雛形である。

第二章では郵便税(郵便料金)を定めている。前章で定められた郵便の種別に即し、次のとおり、全国均一料金により郵便税が規定されています。
・第一種郵便物:重さ二匁未満、同二匁ごとに 二銭
・第二種郵便物:一葉 一銭
・第三種郵便物:一号一個重さ一六匁未満、同一六匁ごとに 一銭
同  二号または二個以上一束重さ一六匁未満、同一六匁ごとに 二銭
・第四種郵便物:重さ八匁未満、同八匁ごとに 二銭

事業運営の見直し

郵便条例の制定過程において、全国郵便書状と郵便葉書の料金をそれぞれ五厘値上げする案が認められなかったため、従来どおりの運営では赤字が出ることが確実視され、赤字が累積していく可能性が出てきた。そこで郵便条例の制定に続いて、駅逓局は、野村総監の下、効率的な事業運営を目指し、地方管理組織の強化や郵便局の適正配置、更に各般にわたる事業運営の改善に乗り出すことになった。

古地図―近畿

文:近辻喜一(ちかつじ・きいち)

近辻喜一さん郵便史研究会会長。『新版・明治郵便局名録』(鳴美、2015年)校訂者として知られ、一般の方にも親しみやすい郵便史の解説で定評がある。多摩地域を中心とする郷土史研究者としての顔も持つ。

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